物語の形

 

 どのようなTRPGも、「遊び方」―――そこで語られる物語の形―――を知ることは、その作品を楽しむ上でとても重要なことだと思います。そこでここでは、この作品で語られる物語の形を紹介していきます。

 

■■Eireannという物語の4つの柱■■

 

1.ジャンルは現代物ファンタジー

2.「すべての住人が魔法の存在を認知している街」が主な舞台

3.そこは、地上に遺された最後の聖地

4.PCの使命は「護ること」である。

   何から?

    ・魔物の存在

    ・「ウサギの穴」現象

    ・ソリタリアの脅威

    ・その他、魔法的なトラブル

 

1.ジャンルは現代物ファンタジー

 この作品は、いわゆる「現代物ファンタジー」というジャンルに分類されます。

 背景となるのは、我々の暮らす現代に魔法や妖精といったファンタジーの要素を持ち込んだ世界。そこでは、渋滞する道路の上を箒に乗った魔女が飛んでいたり、耳の長い妖精の女の子が携帯電話でおしゃべりに興じていたり、ローブに身を包んだ魔法使いがインターネットで薬草の資料をダウンロードしたりしています。

 

2.「すべての住人が魔法の存在を認知している街」が主な舞台

 「現代物ファンタジー」のひとつのお約束として「自分が魔法使いであることを一般の人に知られてはならない」というのがあります。 

 考えるまでも無く、これは当然のことです。現代に魔法や妖精が息づいていると知れ渡れば、そこはたちまち人々の好奇の的となり、数多のマスコミや研究機関がおしよせ、偶像あるいはモルモットとして全てを調べ上げられ、何もかもを奪われてしまうに違いありません。無用な差別を受け、不当な偏見、暴力の的となることもあるでしょう。多くの現代物ファンタジーの主人公達が自分の素性を隠しているのは、ある意味当然のことなのです。

 しかしこの作品では、自分が魔法使いや妖精であることを隠す必要はありません。

 街中で強力な攻撃魔法をぶっぱなそうと、人が見てる前で動物に変身しようとまったくのノー・プロブレムです。何故なら、この街の住人全員が、魔法や妖精の存在を知っているからです。

 もちろん全ての人々が魔法を使えるわけではありません。

 それどころか、魔法を自在に操ることができる人間はPCを含めごくわずかしか存在しません。

 にも関わらず、この街では魔法の存在は常識であり、魔物や様々な魔法的な事件ですら日常のできごととして受け入れられているのです。

 

 何故か?

 それは、この街が地上に遺された最後の聖地だからです。

 

3.そこは、地上に遺された最後の聖地

 魔法や妖精は、かつて世界中に存在していました。様々な伝承や御伽噺が示すとおり、彼等は当たり前のようにそこに存在し、人間の生活と密接に関わってきたのです。しかし産業革命以降の劇的な「科学」の進歩によって、人々は徐々に魔法や妖精との繋がりを失っていきました。魔法は技術に代替されて力を失い、妖精は存在を否定されて徐々に住処を追われていったのです。

 そして―――唯一残されたのがこの街。

 魔法や妖精を信じる人間たちが暮らす、地上で最後の場所。

 PCをはじめ、どんな強力な魔法を使う者もこの街を出ると魔法の力を失ってしまいます。

 貴方がもし「妖精」ならば、この街から出て行くことは存在の消滅を意味します。

 魔法を忘れた世界にただ一箇所だけ残された「ファンタジー」。それが物語の舞台「聖地エリン」です。

 

4.PCの使命は「護ること」である

 地上で最後の「奇跡」を。そしてそこで暮らす大切な人々を護ることがPCの皆さんの使命であり、またこの作品の描く冒険の形です。

 では、一体何から護れと言うのでしょう? Eireannという場所は、それほど危険に満ちた場所なのでしょうか?

 答えはYesです。

 魔法が存在し、妖精達との生活が日常であるこの街では、それゆえの楽しさ・面白さと同時に「常識」では考えられない様々な事件が起きてしまうのです。

 

・魔物の存在

 人間の中にもいい人間と悪い人間がいるように、妖精の中にもいい連中と悪い連中がいます。分けても「悪い」妖精というのは人に呪いをかけたり厄介な病気を振りまいたり、あまつさえ人間をさらって食べてしまうような洒落にならない連中がほとんどです。このような妖精たちを一般に「魔物」と呼びます。

 魔物の例はこちら

 魔物たちは後述する「ウサギの穴」を通じて異界から侵入してきたり、悪意ある人間に召還されたり、あるいは人々の負の想念や都市伝説などから自然発生的に生み出されたりします。こうした恐ろしい連中に立ち向かうことができるのは、「女神のかけら」という強力な能力を持つPC達だけなのです。

 

・「ウサギの穴」現象

 もしEireannで貴方の知り合いが行方不明になったなら、「もしかして異世界に迷い込んでしまったのでは」と心配したほうがいいかもしれません。

 妖精や魔法と同様に地上から姿を消していった「異世界へ通じるゲート」もまた、この街ではごくありふれて存在します。

 そして、それゆえの多くのトラブル。偶然くぐってしまったが戻る方法が分からないとか、偶然開いたが閉じる方法が分からない…といった騒動もまた、この街では日常茶飯事です。

 この、ゲートの生成・消滅に関わる事件をルイス・キャロルの名作にちなんで「ウサギの穴現象」と呼びます。

 ウサギの穴の例はこちら

 …貴方の知り合いがウサギの穴に落ちて迷子になってしまったら?

 …偶然開いたウサギの穴が、恐ろしい魔物の住処に繋がってしまったら?

 そこから、あなたの物語が幕を開けるのです。

 

・ソリタリアの脅威

 「心の闇」に憑かれた破壊者「ソリタリア」は、この作品の象徴的な悪役です。

  今の日本で数多くの悲しい犯罪を引き起こす「心の闇」に、このEireannではさらに魔法の力が上乗せされます。とくれば、彼らの暴走を止めるのもまた、魔法の力を持った者でなければなりません。

 ソリタリアについては、こちらを参照してください。

 

・その他、魔法的なトラブル

 魔法の力が実在しているEireannでは、当然魔法的な力を持つ小道具や魔物の呪い、それに特別な薬草や魔法でしか治せない妖精病(フェアリー・バグ)などが原因となる事件も起きます。これらを解決するのもまたPC達の使命となりえます。

 

 魔法が常識でありながら、こうした事件に立ち向かえる者はそれほど多くはありません。

 街の平和のため、あるいは自分にとって大切な人を護るため、己の魔力を駆使し奔走する。それこそがこの作品における主人公―――PC達の姿であり、彼らの冒険の形なのです。

 

 


ウサギの穴について

 

 ウサギの穴とは異次元空間・異世界への入口です。

 この街では至る所に存在し、また唐突に開いたり閉じたりするため、不運な街の住人を飲み込むトラブルが日常のように起きています。(この街では遅刻の言い訳として「寝坊して〜」「道路込んでて〜」に並んで「ちょっと異世界に迷い込んでて」と使われるほどです。)

 ただし一般人が迷い込むにはシャレにならない危険な世界や、迷い込んだまま帰還の方法が分からなくなるケースも多く、こうした事件を解決する事がPCの任務となりえます。

 今回3rd Editionでは「ダンジョン探索ルール」も追加されましたので、ウサギの穴を介して謎の地下迷宮や魔の森の探索をシナリオに組み込むことができます。

 ありふれた日常が一転してサバイバルに変わる。それがウサギの穴の最大の怖さであり、また魅力でもあります。

 

■ウサギの穴になりうるもの

 異世界の入り口になりえるものの代表例です。

 

・扉

 ウサギの穴として最もポピュラーなのが「扉」です。

 いつも何気なく使っている扉が、突然別世界へと繋がる…。そんな話が、Eireannでは割と普通に起きてしまいます。

 

例1)玄関を開けて外に出たら見渡す限りの荒野だった

例2)昏睡している子供の病室に入ったら、その子の精神世界に迷い込んでしまった

 

・鏡

 鏡が別世界への入り口になることも、良くある話です。

 

例1)洋館の奥に飾られた巨大な姿見が吸血鬼の住む城へのゲートになっていた

例2)中古屋で手に入れた古い三面鏡に、知らない町並みが映る

 

・風景画

 美術館などに飾られている風景画が、異世界へと続く扉になることがあります。その絵を描いた人の魔法、あるいはその絵にこめられた特別な想いが引き金となって、こうした現象が起きるようです。

 

例1)中世の町並みが描かれた絵に迷い込み、うっかり魔法を使って魔女裁判にかけられた

例2)地獄を描いた絵が現実と繋がってしまい、鬼が町に溢れ出した

・あるはずの無い廊下、あるはずの無い階段

 学校の怪談などで割とポピュラーですが、普段は行き止まりの場所に、さらに奥へと続く廊下や階段が出現することがあります。

 建物自体が過去の形状を記憶していて、昔そこにあった廊下や、今は埋められてしまった地下室が現れるといった場合が多い現象ですが、学校を根城にしている魔物が自分の巣に続く道を作っている場合などもあります。

 

 

 その他、古いトンネル、井戸、マンホールといったものも、ウサギの穴となることがあります。

 

■ウサギの穴が開く条件

 ウサギの穴には、ある条件によってしか開かない(閉じない)ものがあります。

 その条件としては、以下のようなものがあります。

 ウサギの穴を開けなければならない、または閉じなければならないシナリオを作成するときには、これらを参考に条件を決定してください。

 

1・時刻

 特定の時刻(例えば深夜12時)に開閉するパターンです。

 ほかに「太陽が真上に来たとき」とか「新月の夜にだけ」といったものも存在します。

2・合言葉

 特別な合言葉をかけると別な場所に通じる扉などです。

 魔法使いや魔物が自分の根城としているパターンが多いです。

3・特定のアイテム

 そのゲートを開くために特定のアイテムが必要なパターンです。

 特定の材質や形状の物品、その場所に深い想いを刻んだ人物の思い出の品や、鍵となる特定のマジックアイテムが必要かもしれません。

4・特定のキャラクター

 そのゲートを開くために特定の誰かを連れてこなければならない場合があります。

 例えばある少女の思いによって封印された扉を、その母親を連れてくることによって開ける、などです

 

■例

GM「昨日の夜7時ごろだ。バスケ部の1年生2人が片付けのために体育用具室の扉を開けたところ、中からパクっとやられたそうだ」

PC1「ぱ、パクっと?」

GM「目撃者の証言によると、扉自体がこう…生き物の口みたいに2人を飲み込んだそうだ」

PC2「ウサギの穴…か。よしPC1、開けてみよう。俺は見てる」

PC1「テメェ(笑)と言ってもしょうがねーか。…GM、ゆっくり扉に手をかけて開けてみる」

GM「OK。すると扉は何事もなく開いた。その先には埃っぽい倉庫があるだけだね」

PC1「おやー?」

PC2「当然、中に2人はいない、と。…どうやら何かの条件で異世界につながるタイプのようだな」

PC1「そのとき二人が偶然条件を満たして、穴が開いちまったってことか。何だ?持ち物か?」

PC2「あるいは合言葉か。その時の会話が、たまたま合言葉になったのかも。…何だろうな。最近2人が話してた話題について調べてみるか」

PC1「(聞いてない)GM、消えた2人って女子部員?」

GM「女子だね」

PC1「じゃあブルマだろ。間違いない。おいPC2、いっちょそのへんの女子部員から借りて…」

PC2「(冷ややかな目)」

PC1「じょ、冗談だってば(笑)」

  


ソリタリアの脅威

 

 ソリタリアは憎悪や嫉妬に狂う余り「絆」を見失い、それを破壊衝動に変えた者達です。

 

ソリタリアの基本ルール

1・外見からは一般人と区別することができません

 ソリタリアの能力を使っているところを目撃するのでもない限り、見ただけで正体を見破ることはできません。(もちろん物証を集めて誰がソリタリアかを推理することは可能です。)

 

2・「感情対決」を行うことができます

 これはソリタリア化からの回復をテーマとするシナリオ限定です。

 ソリタリアが持つ「マッドカラー」の感情に「クリアカラー」の感情を対決させ、ソリタリア化を回復させることができます。

例1)「不安」を持っているソリタリアに対し、その相手が嫌っていないことを告げる

例2)「渇愛」を持っているソリタリアに対し、実は両想いでしたと告げる

 PC達がシナリオの中でこうした情報を手に入れてソリタリアのキャラクターを説得することができたとき、GMは感情対決を行いソリタリア化を回復させることができます。

 もちろん説得に応じない、既に後には引けない(もう相手を殺してしまっていた、など)などの理由でソリタリア化が解除されず、さらに悲劇的な結末を迎えるかもしれません。けれどそれも『絆』の物語の一つの有り方と言うべきでしょう。

 

 

■ソリタリアの作成

●ソリタリア化の動機

 GMはシナリオの中でソリタリアを敵とする場合、なぜ彼がそうなったのか?を必ず考えなければなりません。あらかじめ3つの感情(マッドカラー)を取得し、それが誰に向けられた感情であるかを設定すると良いでしょう。

 

■例

GM「…今度のシナリオの敵は、歪んだ恋愛感情から凶行に走る女の子にしよう」

 こう考えたGMが取得した感情は「嫉妬」「不安」「独占欲」

 「不安」「独占欲」をクラスメイトの男子に、

 「嫉妬」をその男子の彼女に対して設定しました。

GM「…この女の子は自分に自信が無くて、自分が嫌われてるんじゃないかと思いながらクラスメイトの男子に強い恋愛感情を持ってる。んで、その彼女に嫉妬してる、と。…普段はきっと気持ちを隠して笑ってるんだけど、例えば2人がキスしてるのを見て一気に感情が弾けてソリタリア化する…ということにしよう」

 

●ソリタリアの作成

 一般人がソリタリアとなった場合は、こちらからPCを作成するのと同じ要領で以下のように作成します。

 なお、最大HP〜イニシアチブ修正値は、GMが任意に変更することができます。

 

・基本技       イマジナル・ウェポン。形状は自由

・固有エンチャント  テラー・エンチャント

・Sクラフト     2個

          (上級アビリティを選ぶ場合は、その上級Sクラフトも含めた中から2個)

・アビリティ     基本A〜Dセット、上級アビリティ5セットから、好きなものを2セット

          (GMが任意に選んでも構いません。)

・最大HP      30+[PCの人数×6]点

・気絶値       最大HPの1/4

・防御点       3点

・イニシアチブ修正値 +3

・戦闘コスト     任意のコスト2個

 

●ソリタリアとなった能力者

 この作品で、おそらく最強の敵となるのがソリタリアとなった女神のかけらの能力者です。

 女神のかけらの攻撃力に、さらにソリタリアの破壊的なパワーが上乗せされる、恐るべき暗黒の使徒。そしてそれ以上に、彼らは"道を踏み外したPC自身の姿"でもあります。彼らと対峙した時、PC達は自分の力と絆をどう考えるでしょうか?

 ソリタリアとなった能力者を作成する場合は、まず通常の方法でPCを作成した後、さらに

・固有エンチャントを「テラー・エンチャント」に変更。

・通常のSクラフトに加え、ソリタリアのSクラフトを2個獲得

  (上級アビリティを選ぶ場合は、上級Sクラフトも含めた中から2個)

・既に取得しているアビリティに加え、ソリタリアのアビリティ(基本A〜Dないし上級アビリティ5セット)から好きなものを1セット

  (GMが任意に選んでも構いません。)

・最大HP      さらに+10+[PCの人数×6]点

・気絶値       最大HPの1/4

・防御点       さらに+2点

・イニシアチブ修正値 さらに+2

・戦闘コスト     さらに任意のコスト+1個

 

 


妖精病(フェアリー・バグ)と呪いについて

 

 妖精病とは、文字通り魔法的な病気です。

 一般の病気とは違い、ただ患者の自然治癒力に任せていたのでは、ほとんどの場合治癒しません。このため病気を治すための特別な魔法や薬が必要になります。

 呪いも同様で、魔物のタタリや呪いのアイテムが原因となる呪いは、放っておくと破滅的な結末をもたらします。

 こうした病気や呪いの治療も、PC達の使命となりえます。

 

■治療法

 妖精病や呪いを治療する方法は、主に以下の2つです。

 

1・病気や呪いを媒介する存在(「キャリアー」)を退治する

 一般的に妖精病や呪いにはその『元凶』が存在します。それを「キャリアー」と呼びます。

 キャリアーは魔物であったり人間であったり、あるいは物品(呪いの物品)であったりします。それらを退治・破壊すると、全ての患者を一気に回復することができます。

 

2・治療のためのアイテムを使う

 妖精病や呪いには、それを回復する専門のアイテムが存在します。「エリクサー」と「破魔の霊石」です。(「マジックアイテム」参照)これらのアイテムを使うと、患者を治療することができます。

 アイテムそのものや、その材料・加工できる魔法使いを探す必要があるかもしれません。

 GMはオリジナルの材料やアイテムが必要であるという設定を作る事もできます。(むしろ推奨します。)

 

■妖精病と呪いの種類

 以下に、主な妖精病と呪いのデータを示します。

 妖精病と呪いには症状が似たものも存在します。

 

妖精熱


 魔力が不安定になって、微熱・倦怠感が出る病気です。カゼに似た症状で、年によっては人間や妖精の間で大流行します。

 この病気に感染した場合、常に4レベルのステータス以上「睡魔」を持っているものとして扱って下さい。

 マジックアイテム「妖精の粉」や、ティンクル・スターのアビリティ「フェアリー・パウダー」で治療できます。

レッドクロッグ(紅い靴の呪い)


 死ぬまで踊り続ける呪いです。

 この効果を持つ呪いの靴や楽器は以外に多く、年に数件は罹患者が出ます。そのアイテムを破壊することで呪いは解除されます。

 以前ギネス記録に挑戦しようと自分からこの呪いにかかった人がいましたが、妖精赤十字では決して真似をしないように注意を促しています。

マルバス病


 液体を媒介にして伝染する妖精病です。汚染された液体に触れると、その触れた部分から皮膚が腐っていきます。この時激痛を伴うので、その症状を「水に喰われているようだ」と例える事があります。致死性は低く、患部を清潔な水で洗い適切な処置を施すと10日前後で治ります。ただし症状が重いと、完治しても火傷の様な跡が残ります。(ただしキャリアーを倒せば、跡も残さずすっかり完治します。)

 伝染性があり、感染した患者の血に触れると10人に1人ぐらいの割合で伝染します。

ディープスリープ


 眠ったまま目覚めなくなる呪いです。植物人間化すると言い換えてもいいかもしれません。

 決して目覚めない以外は身体に変調が現れることはありません。髪も爪も伸びますし、年もとっていきます。

カエルの呪い


 くしゃみをするたびに口からカエルが飛び出してくる呪いです。気持ち悪い以外には、ほぼ実害はありません。

 最も悲惨な事例として花粉症の時期にある小学校の生徒全員がこの呪いにかかったことがあり、その惨状は今も妖精赤十字の間で語り草になっています。

石化の呪い


 体が石になる呪いです。

 かなり稀な部類に入る呪いで、特定の魔物の能力としての事例が数件ある程度です。

 石化したキャラクターは、回復するまで一切の行動をとることができません。


 同じ症状を引き起こす「石化病」という病気もあります。発症すると、その瞬間に全身が石化します。石化病のキャリアーが現れると、その一帯は石像の街と化します。

白紙病


 人物に関する記憶が失われる病気です。これに感染すると、キャスティングボードに設定した全てのキャラクターのことを忘れ、絆値が0になります。

 一般的な記憶喪失とは違い、大事な人に関する記憶だけが抜け落ちていくのが特徴で、その喪失感は計り知れなません。


 同じ症状を引き起こす「忘却の呪い」という呪いもあります。こちらは呪いを発しているアイテムや魔物を退治することで回復します。

風船の呪い


 体が風船のように膨らんで宙に浮いてしまう呪いです。ただし一定の高さまでしか浮かばないため、どこまでも飛んでいくという事はありません。(風に飛ばされた場合を除く。)

 患者は四肢の自由を失い、ただプカプカと浮かぶだけになります。この状態では戦闘も行えません。

このため、最大の難問がトイレです。

人面疽(じんめんそ)


 体に人の顔の形をした痣ができる呪いです。痣は時間と共に成長し、喋り出したり宿主の体を乗っ取ったりします。多くの患者は恐怖のあまり人面疽を切り落とそうとしますが、いくらナイフやハサミを突き立ててもそれは自分の体。激痛と失血で、そのまま命を落とす者も珍しくありません。

 何かで負った傷が徐々に成長して人の顔の形をとるのが一般的で、多くの場合はその傷を負った原因が呪いの大元・「キャリアー」です。

死の宣告


 余命を決定するタイムリミットの呪いです。

 この呪いにかかると、患者の余命が一定の期間(数時間〜数日)に制限されてしまい、それを過ぎた時点で確実に死亡してしまいます。

 ただしこの呪いは、必ず「期間内に▲▲しなければ死ぬ」という条件が与えられます。

 一時間以内に○○を破壊しなければならない。3日以内に××まで行かなければならない…など。この性質を利用して人を脅迫するのに用いられたりします。

ドレイン症


 正式名称は後天性霊律不全症候群。体から徐々に霊力が抜けていく病気です。

 症状が軽い場合は倦怠感が続く程度で自然治癒する場合もありますが、重篤な場合は衰弱し死に至ることもあります。

 「ドレイン症」という通称は悪しき魔力によって生命力を奪われているかのような症状に由来するものですが、実際にはそのような症例は稀で、未だ原因不明の難病です。

ゾンビ病


 正式には「血系症候群(ディセンデンツ・シンドローム)」と呼ばれる病気で、全ての患者が病気の大元(キャリアー)の下僕と化してしまう病気です。

 この病気にかかった者は、まさに吸血鬼に血を吸われたように全ての意識を奪われ、キャリアーの忠実な下僕と化してしまいます。彼らが主の命令によって戦闘に参加する場合、データは「ゾンビ」のものを使用してください。

カオス・シード


 正体不明の「何か」を妊娠してしまう呪いです。

 女性限定で、多くは男性経験の無い者が罹患します。妊娠期間は数日〜数ヶ月と早く、何が生まれるかは呪いを受けた時の条件によって決まります。

 地霊を静める岩を壊したため、祟られて「岩」を妊娠した…とか、呪いのビデオテープを見たせいで悪魔を身ごもった…とか、その症例も不気味なものが後を絶ちません。

竜化(ドラゴナイズ)の呪い


 人間を竜(ドラゴンパピー)に変える呪いです。極めて強力な太古の呪いで、一度この呪いを受けた人間は死ぬまで元に戻る事は無いと言われています。

 

アレルギー放電


 アレルギーの原因物質(花粉、ハウスダスト、大豆、特定の化学物質、猫など)に触れると体から電気が出る病気です。この電気は、患者本人や周囲の人に1D点のダメージを与えます。(防御点有効。症状によって範囲やダメージが増える事もあります。)

 重篤なアレルギー患者がこの妖精病にかかると、事によっては周囲に大勢の怪我人を出すことがあります。

魔法無効化


 その名の通り周囲の魔法を消し去ってしまう病気です。人間だけが感染する病気だと言われています。

 この病気の発症者の周囲(距離は病状による)では魔法と名のつくものは全て効果を失います。あらゆる魔法(女神のかけらの攻撃も含む)が届かないばかりか、マジックアイテムは力を失い、妖精や魔物は患者に近づくだけで消滅してしまいます。ただし患者自身の魔法能力は失われません。

 

 …この病気は、厳密には「妖精病」ではないとする意見もあります。全ての人間が「魔法無効化」を発症した世界、それを「現代」と呼ぶのだと。

緑死病


 感染から発症までが1時間以内と早く、また発症すると体の至る所に緑色の斑点ができ、高熱・嘔吐が続いて数日で死に至るという極めて重大な妖精病です。

 感染者の体液(汗、唾液、血液など)に接触することで100%感染するため、うかつに看病・診察すればたちまちのうちに感染します。妖精病の治療を専門にする妖精赤十字でも、最悪の場合は「見殺しにするつもりで隔離する」しかありません。

 発生は極めて稀ですが、ひとたび発症すると数百人〜数千人の犠牲者を出すと言われています。

ライカンスロープ症(獣化病)


 体に徐々に獣の特徴(体毛、耳、尻尾、四つんばいで歩く、言葉が喋れなくなる等)が現れ、十数年で知性を失ったただの獣になってしまう病気です。

 現在、この病気には治療法が存在しません。「エリクサー」でも回復できません。

 感染力は低く、患者から別のキャラクターに感染することはほぼありません。このため患者自身がいつどこでこの病気にかかったか?が極めて分かりづらいという特徴もあります。


 同じ症状を引き起こす「動物化(アニマライズ)」という呪いもあります。こちらは完全に獣と化するまで一瞬〜一日と進行が早いのが特徴です。

 


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