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セッション全体の流れ
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『千夜月姫』では、一回のセッション(ゲームをプレイすること)をゲーム準備期間であるプリプレイ、実際にゲームを遊ぶメインプレイ、キャラクターの成長やゲームの後片づけを行なうアフタープレイに分けている。
メインプレイは、さらにオープニング、ミドル、クライマックス、エンディングの4つのフェイズに分かれている。そして、おのおののフェイズは複数のシーンによって構成される。[シーン]とは、ひとつの場面を表わすゲーム内の時間単位である。実際のゲームはこのシーン単位で進行していく。
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プリプレイ
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プリプレイでは、ゲームの準備を行なう。そこで、当日までの準備、そしてプレイ当日のプレイヤーとGMが集合し、実際に遊び始めるまでの準備について解説する。
■GMの準備
ゲームマスター(GM)の準備について解説する。GMは、セッションのためさまざまな準備をセッション開始までに終えなければならない。セッションをうまく進行するためにしっかりと準備をしよう。
そして、もっとも重要なのはメンタル面での準備である。つまり、これから『千夜月姫』を楽しもう、参加するプレイヤーたちを楽しませようという気持ちを持ってもらいたい。人間、何となくやる場合と、明確な目的を持ってやる場合は、成果に大きな違いがある。
このゲームは、楽しく遊ぶことのできるゲームである。それでも何となく遊ぶだけではなく、楽しもうと思って遊ぶ場合では、楽しさの質、総量ともに大きな違いがある。そして、誰かを貶めたり、辱めたり、誰かを傷つけるためにこのゲームを用いてはならない。これは絶対だ。
●ルールブックを読む
まずはしっかりとルールブックを読むこと。GMはこの本を通読して、どのルールがどのあたりにあるのかを確認しておくこと。
●シナリオを作成する
ゲームで使用するシナリオを作成する。
●用具の準備
その他ゲームで必要な用具を準備する。
■当日の準備
それでは、セッション当日、参加者が集合してから、メインプレイの直前までにどのような準備が必要になるのだろうか。そのことについて解説しておこう。
●PCの作成
GMはすべてのプレイヤーに指示して、その日のセッションに使用するキャラクターを作成してもらう必要がある。
すでにPCの作成が済んでいるのなら、キャラクターシートに記入されたデータを確認し、記入漏れやミスが発生していないかを確認しておくこと。
●席順の決定
ここで、席順を変更しよう。GMは、テーブルの長辺の真ん中あたりに座ること。短辺の部分、いわゆるお誕生日席に座らない方がよい。
●自己紹介
各プレイヤーにみずからのPCの紹介をしてもらおう。今日、一緒に冒険する仲間のことを少しは知っているべきだろう。
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メインプレイ
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メインプレイでは、実際にシナリオを使用してゲームを遊ぶことになる。メインプレイは前述したように4つのフェイズに分かれている。そして、それぞれのフェイズは、複数のシーンによって構成される。
そこで、最初にシーンについて解説する。
●シーン
『千夜月姫』では、ゲームはシーンと呼ばれるゲーム内の時間単位で進む。
シーンとは、分かりやすくいえば、映画やTVドラマなどのひとつひとつの“場面”のことである。セッションは“場面”の連続であり、シナリオとはシーンをつなげるための情報なのだ。もちろん、GMはセッションの進行に合わせて、シナリオにないシーンを創ってもよいし、プレイヤーもシーンの作成をGMに依頼してもよい。GMはどのようなシーンを作成するかの最終決定権を持っている。
●登場と退場
シーンに参加するためには、そのシーンに[登場]する必要がある。シーンは、舞台のようなものである。舞台に上らなければ役者(PC)は何もできない。
その逆に、シーンから去ることを[退場]と呼ぶ。キャラクターは、GMの許可を得られれば、いつでもシーンから退場できる。
GMはシーンに誰が登場しているか、任意に決定できる。もちろん、必要であればシーンの途中に登場してもらう(させる)こともできるし、登場しているキャラクターを退場させるのも任意に決定できる。
●シーンの進行
シーンは次のような手順で進行される。
▼シーンプレイヤーの指定
GMは、そのシーンの主役となるキャラクターを指定する。これを[シーンプレイヤー]と呼ぶ。
GMはシーンの開始時にシーンプレイヤーが誰であるのかを宣言すること。シーンプレイヤーは自動的にシーンに登場できる。
▼シーンの開始
GMは、まずシーンの開始を宣言し、そのシーンの行なわれる場所とその目的について簡単に解説する。これは、その後に登場するかどうかの判断材料になるからだ。解説とはいってもそんなに多く話す必要はない。シーンプレイヤーを中心にして一言二言解説すればよい。
▼同行者の指定
シーンプレイヤーは現在一緒に行動しているPCを指定して同時に登場できる。これを[同行者]と呼ぶ。同行者は相手の了承が得られれば何人でも構わない。もちろん、GMは行なわれるシーンの都合に合わせて同行者を認めても、認めなくてもよい。なお、NPCと同行できるかどうかはGMが任意に決定してよい。
▼PCの登場希望
シーンに登場することを希望するPCは、GMの許可を得てシーンに登場することができる。
▼シーンの演出
GMはそのシーンに必要なだけの演出と処理を行なうこと。
▼シーンの終了
GMは、いつでもシーンの終了を宣言できる。シーンを終了させたら、舞台裏の処理を行なう。続いて、シナリオの進行に従って次のシーンプレイヤーを決定する。そして、次のシーンに移る。
●マスターシーン
シーンの中には、シーンプレイヤーの存在しない演出が主体となるシーンがある。これをマスターシーンと呼ぶ。マスターシーンでは、誰も登場させないということを含めて、登場するキャラクターをGMが任意に決定できる。
■オープニングフェイズ
オープニングフェイズは、このゲームにおける導入部分である。
■ミドルフェイズ
ミドルフェイズはシナリオで語られる事件の中盤であり、物語が進行するフェイズである。他のPCたちとの出会い、事件によって発生するさまざまなイベントや敵との遭遇を経て、PCたちはクライマックスへと至る。ミドルフェイズの進行はシナリオの内容によって大きく変わる。
●情報収集シーン
GMは、PCたちが知りたい情報について、人為的に隠されている場合や、大量の偽データに埋没して、情報に気がつけないというような場合などに情報収集シーンを設定してもよい。
情報収集シーンは、情報収集の為の判定を行なうためのシーンであり、通常のシーンとは異なり、登場を宣言すれば登場できる(登場判定を行なう必要はない)。情報収集シーンでは、GMは必ずしもシーンの場所や具体的な情報収集の方法を提示する必要はない。逆に、プレイヤーからみずからの持つ特技やコミュニティを活用できるように情報収集の方法や、場所をGMに提言するとよいだろう。もちろん、シーンの場所や演出方法の最終的な決定権はGMが持っている。
●情報収集の判定
情報収集の判定は、情報収集シーンごとに、ひとりのPCにつき1回ずつ行なえる。判定の難易度や判定値は、行為判定のルールにしたがってGMが決定すること。
具体的には、PCの提言にしたがって使用する能力値(能力ボーナス)を決めるとよい。データベースを検索するから【理知】、現場に残った証拠品を調べるから【知覚】、周辺で聞き込みをするから【体力】などというように、である。
コミュニティを活用して情報収集を行う場合は、【理知】を使用すること。
同じように、難易度についても、誰でも知っていそうな情報だから10、人為的に隠されているので16などというように8〜20くらいの範囲で設定すること。
■クライマックスフェイズ
シナリオにおける真の敵、コンピュータRPGなどにおけるボスキャラとの戦いがクライマックスフェイズである。むろん、戦闘でなければならないわけではない。
■エンディングフェイズ
エンディングフェイズは、セッションのエピローグに相当する。
どのようなシーンになるかは、実際のセッションの内容によるだろう。
■メインプレイの終了
これで、メインプレイ(狭義的なセッション)は終了し、アフタープレイに移る。
アフタープレイでは、プレイヤーのあるいはGM経験点の計算と配布や後片づけなどセッションの後処理が行なわれる。
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アフタープレイ
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GMがゲームの終了を宣言したところで、今日の物語は幕を閉じることになる。
そして、アフタープレイが開始される。アフタープレイでは、プレイヤーたちに経験点を配布する、後片づけをするなどゲームを終えるためのさまざまな作業を行なう。
▼ダメージの消去
死亡していないキャラクターの[HP]や[上限ダメージ]は完全に回復する。セッション中に受けたダメージは次回のセッションには引き継がれない。
▼未使用感情の消去
セッションを開始するときに得た感情や、背反律の使用などによって得た感情のうち、未使用感情に残っているものは失われる。
■経験点の配布
GMは、プレイヤーに経験点を配布する。
経験点は、レコードシートの経験点表の項目にチェックされる。プレイヤーごとに項目をチェックしてもらい、チェックの入った項目について経験点を取得する。
各項目へチェックを入れるか否かは、最終的にGMが裁定する。
なお「良いロールプレイをした」「他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行なった」の項目にチェックを入れる場合、他のプレイヤーから推薦や提案によることが望ましい。
▼セッションに最後まで参加した …経験点1点
途中退席してしまったプレイヤー以外、この場にいる全員にチェックをつける。
▼感情対決を行った …経験点1点
セッション中に感情対決を行ったキャラクターは、チェックをつける。
▼絆値合計は何点?
セッション終了時の絆値の合計によって、経験点が得られる。
1〜5点 …経験点2点
6〜15点 …経験点3点
16〜30点 …経験点4点
31〜50点 …経験点5点
51〜75点 …経験点6点
76点以上 …経験点7点
▼良いロールプレイをした …経験点1点
他のプレイヤーやGMなどから見て、プレイヤーがキャラクターの台詞や仕草、特技を使用したときの演出などを「上手にやった」と思えるものがあった場合、チェックをつける。
▼他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行なった …経験点1点
他のプレイヤーに行動指針を示したり、他のPCのロールプレイを補助したりした場合、チェックをつける。なお、特技の効果などによって(例えば回復などで)助けた場合は、この項目に該当しない。
▼セッションの進行を助けた …経験点1点
他のPCやNPCの橋渡しを行った(面識の無いキャラクター同士を引き合わせた)など、セッションの進行を補助したとき、チェックをつける。
▼場所の手配、提供、連絡や参加者のスケジュール調整などを行なった …経験点1点
セッションの開催場所を手配、ないし提供したり、参加者への連絡やスケジュール調整を行ったプレイヤーはチェックをつける。
■後片づけ
経験点の配布まで終われば、後は使用した会場の後片づけである。次回以降のセッションでも家主が快く利用させてくれるようにきちんと片づけを手伝うこと。会場が公共施設であればその施設の規則に従うこと。
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キャラクターの成長
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プレイヤーは、みずからが得た経験点をキャラクター(PC)に対して消費して、そのキャラクターを成長させることができる。
プレイヤーが得た経験点は、そのプレイヤーが担当しているPCであるなら、どのPCに対して使用してもよい。経験点はキャラクターではなく、プレイヤー個人に与えられている。
経験点は一度消費したらなくなってしまう。その時のGMに依頼してレコードシートやセッションシートの経験点欄を書き換えてもらうこと。このように消費した経験点を示すシート類はきちんと保管しておくことをおすすめする。
■経験点の使い方
経験点を消費することで、何ができるのかについて解説する。
●キャラクターレベルの上昇
経験点を所定の数だけ消費することで、キャラクターのキャラクターレベルを上昇できる。キャラクターレベルを上昇させることで、キャラクターはより強い力を発揮するようになる。
キャラクターレベルは、キャラクターの持つすべてのクラスのクラスレベルの合計値である。よって、キャラクターレベルを1レベル上昇させることで、持っているクラスのうちどれかひとつのクラスレベルを1レベル上昇させるか、新しいクラスを取得できる。
なお、経験点が消費できるのであれば、一度に2レベル以上キャラクターレベルを上昇させても構わない。
・キャラクターレベル上昇表
レベル 必要な経験点
3→4 4点
4→5 5点
5→6 6点
6→7 7点
7→8 8点
8→9 9点
9→10 10点
10以降、必要な経験点は上昇後のレベルに等しい。
●クラスレベルの上昇
キャラクターレベルを上昇させたら、そのキャラクターの持っているクラスのひとつを選択して、そのクラスのクラスレベルを1レベル上昇させること。
クラスレベルが上昇すると、特技取得の追加取得の項目に書かれている特技を取得できる。
▼クラスの取得
キャラクターレベルが上昇することでクラスを新規に取得できる。ただし、ひとりのキャラクターが保持できるクラスは最大で3種類である。つまり、すでに3種類のクラスを持っているキャラクターは、新規にクラスを取得できない。
新規にクラスを取得する場合、どのクラスを取得するかはプレイヤーの任意である。ただし、GMの許可を得ること。新しいクラスを得ても、クラスのコンストラクションデータは得られない。これはキャラクター作成のみに使用できるデータである。
▼戦闘値への修正
新たにクラスを取得した場合、そのクラスによる戦闘値への修正を得る。
▼戦闘値の再計算
クラスを新規に取得、あるいはクラスレベルが上昇することにより、戦闘能力値が上昇する。新規に取得したクラス、あるいはクラスレベルが上昇したクラスのクラス修正表を参照して、新しいクラスレベルによる戦闘値への修正を適用し、各戦闘値を再計算すること。
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